大分県の温泉地、人気ランキングで上昇 本物の湯体験を求める旅人が増加

アバター画像 投稿者 美弦
大分県の温泉地、人気ランキングで上昇 本物の湯体験を求める旅人が増加

大分県は日本一の源泉数と湧出量を誇る「おんせん県」として知られ、別府温泉や由布院(湯布院)温泉が長年人気を二分してきた。しかし最近の観光動向では、県全体の温泉地が注目を集め、特にランキングで上昇傾向が見られる。旅行予約サイトやアンケート調査によると、2025年のデータで別府温泉郷が全国人気ランキングで前年の7位から5位に上がり、由布院温泉も安定した上位を維持している。

この変化の背景には、旅人の嗜好が「本物の温泉体験」を求める方向へシフトしていることがある。従来、別府は湯けむりが立ち込める大衆的な湯治場として、由布院は由布岳を望む洗練されたリゾートとして人気だったが、近年は混雑を避け、自然豊かで静かな環境を重視する人が増えている。コロナ禍後の旅行スタイルが変わり、ゆったりとした癒しを求める声が強まった結果だ。

大分県内では、別府八湯(別府、鉄輪、観海寺、明礬、堀田、浜脇、亀川、柴石)の多様な泉質が魅力。源泉かけ流しの共同浴場が多く、手軽に本格的な湯を楽しめる。一方、由布院は金鱗湖周辺の朝霧や、湯の坪街道の散策が人気で、アートギャラリーやカフェが点在する町並みが支持されている。

予約サイト「じゃらんnet」の2025年人気温泉地ランキングでは、九州エリアで別府温泉郷が上位にランクイン。楽天トラベルでも別府が年間2位を維持し、訪日外国人からの予約も前年比1.4倍に伸びた。ゆこゆこなどのサイトでは、大分県内の温泉地が直近1年の予約で上位を占め、鉄輪や由布院の宿が特に好調だ。

旅の専門家によると、この上昇は施設のリニューアルも後押ししている。別府では複数の宿が大規模改装を行い、由布院では自然を活かした新棟がオープン。地獄めぐりや地獄蒸し料理などの独自体験が、SNSで拡散されやすいのも要因だ。

大分県観光協会の担当者は「県全体で温泉の質をアピールしている。別府の迫力ある湯けむりと由布院の穏やかな風景、どちらも本物の温泉文化を感じられる」と話す。実際、冬の湯けむり景観や朝霧は、写真映えするとして若い世代にも人気が出てきた。

今、温泉旅行を計画するなら、大分県は選択肢の幅が広い。日帰りで地獄めぐりを楽しむか、宿泊で源泉かけ流しの露天風呂に浸かるか。混雑を避けたい人は、由布院の離れ宿や別府の穴場共同浴場をおすすめする。2025年は、大分県の温泉がさらに注目を集めそうだ。自然と湯の恵みを味わいに、足を運んでみてはどうだろう。